概要
ボツリヌストキシン (Botulinum toxin) は分子量が15万ほどの蛋白質で、ボツリヌス菌が産生する毒素である。ボツリヌス毒素とも呼ばれる。 ボツリヌストキシンの分子構造 ボツリヌストキシンの分子構造 ボツリヌス菌食中毒の原因となり、極めて毒性が強い。(致死量:ヒトに対しA型毒素を経口投与した場合、体重1kgあたりの致死量が1μg[1] と推定されている。マウスに対する最小致死量 (MLD) は 0.0003 μg/kg[2]。) しかし、加熱するかアルカリで処理すると失活して毒性がなくなるため、十分加熱すれば安全である。(ただし、ボツリヌス菌の芽胞は耐熱性を持つ)ボツリヌストキシンは毒素の抗原性の違いによりA〜G型に分類されるが、サルへの経口投与によるデータではB型毒素への感受性が最も高い。毒素としてはテタノスパスミンをも上回る毒性を持つと言われている。 ボツリヌストキシンは神経筋接合部などでアセチルコリンの放出を妨げる働きをするが、作用は末梢性に限られ、筋弛緩・鎮痛作用などが確認されている。中毒症状としては、消化器症状(下痢・悪心・嘔吐など、ただし毒素の作用ではない)に続き、めまい・頭痛や視力低下・複視などを起こし、その後自律神経障害、四肢麻痺に至る。 中毒患者は、ギラン・バレー症候群と誤診される場合があるが、脳脊髄液の検査で判別できる。 平成19年6月1日施行の感染症法に基づき、検査、治療、医薬品その他厚生労働省令で定める製品の製造又は試験研究目的にボツリヌス菌・毒素を所持する者は、「感染症発生予防規程の届出」「病原体等取扱主任者の選定」「教育訓練」等が義務づけられている。なお、医療目的で通常用量の所持の場合は、同法の対象にならない。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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